Clinical Question:バイタルサインの読み方について
普段何気なくとっているバイタルサインも、深く解釈していくといろいろな情報を得ることができます。血圧、心拍数、呼吸、意識、体温をしっかり解釈していき、必要なアクションを迅速にとる一助になります。
例えば、血圧、心拍数もただ測って血圧の高低のみを見るのではなく、脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)や体温、年齢などと組み合わせて評価することで、「いまこの患者さんがどんな状態になっているか」「普段と比較して、どのように変化しているか」など、病態評価の情報が格段に増えます。
また、呼吸数は普段見逃されがちですが、最も重要なバイタルサインで、普段と比べて呼吸の状態がおかしいときには何かが起こっていると判断します。呼吸不全の時には、その患者さんが「普段と比べて興奮しているか、朦朧としているか」で、呼吸不全のタイプをある程度予測することができます。
高体温、発熱の患者さんの対応について、まずは危険な発熱かどうかというのは、SIRS(体温38.3度以上or35度以下、心拍数90以上、呼吸数20以上、白血球12000以上or4000以下)やqSOFA(意識変容、収縮期血圧100以下、呼吸数22以上)で判別し、これらが該当する場合には敗血症を疑っていきます。また、発熱の時には心拍数との併読が大切で、特に予想心拍数(Δ0.55度上がるごとに心拍数10/min上がる)を大きく超える「比較的頻脈」の場合には、重症敗血症、内分泌系のクリーゼ、カテコラミンストームなど、危険な発熱を鑑別に上げる必要があります。「比較的徐脈」についても、それだけで鑑別疾患が絞られるので、重要なサインです。
もちろん、バイタルサインの評価のみではなく、臨床像、取り巻く家族状況も含めて、総合的な判断は必要になりますが、在宅診療においてバイタルサインを武器に変えられると非常に強みになると思いました。
引用文献:
バイタルサインからの臨床診断 改訂版〜豊富な症例演習で、病態を見抜く力がつく! 入江聰五郎著
ゆみのハートクリニック
國分 厚彦