循環器医の多様性のある働き方 ―女性のライフステージにあわせてー

2024年09月30日

医師17年目、2人の息子の子育てをしながら循環器内科医として働いている立場から女性医師のライフステージにあわせた働き方についてお話しします。

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●仕事とプライベート
わたしはかっこいい医師になりたいという想いから循環器内科医を志しました。
医師になり、独身時代は朝から晩まで仕事漬けの日々でしたが、とても充実した生活を送っていました。具体的なプランはありませんでしたが「循環器内科医」として働いていたいと考えていました。

そして、医師6年目に結婚、第一子を出産。このころは、カテーテルをうまく扱えるようになり、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)など自分でできることが増えて仕事へのモチベーションが高かったので、妊娠がわかったときはうれしい反面、「もう第一線では働けなくなってしまうのかな」と不安な気持ちもありました。
産後2か月で復帰し、子どもは院内の保育園に預けて8時から18時まで勤務をしました。このときは体がとてもつらかったです。とくに十分な頻度で授乳することが難しかったので胸が張り、痛くてつらかったことを覚えています。産後、半日以上働くのは厳しいと身をもって感じました。

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医師8年目。大学病院に戻り、時短で病棟とエコー室勤務をしていました。とくにエコーは技術を学ぶ場であり、誰よりも勉強しないといけないのに誰よりも早く帰ることが精神的につらかったです。このとき恩師から「いまはほかの人の3割でいいからとにかく続けなさい」と言っていただき、その言葉を支えに続けることができました。1年ぐらいすると、役割も全うできるようになり楽しくなってきました。
医師10年目に2人目を出産。産休育休を6か月取得しました。その間に勉強をして「総合内科専門医」、一年後に「超音波専門医」の資格を取得しました。
復帰後はライフワークバランスや組織の中での自分の役割を考えるようになりました。
2020年よりYUMINOで週1回の勤務を始め、2022年にこれまで務めてきた病院を退職し、現在に至ります。

●女性医師の就業率と家事のジェンダーギャップ

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女性医師は30代半ば~後半で就業率が最も減り、M字カーブになっています。
わたしのM字カーブの時期というと、子供が頻回に風邪をひくので仕事の早退や欠席が多く、カンファレンスや勉強会に出られず、勉強・情報不足もあって肩身が狭かったです。学会の出席も多くのスケジュール調整が必要でした。そして、家に帰ると大量の家事をこなさなければなりません。
振り返ると、多忙と精神的ストレスにより、仕事に対する自信、気力を失いつつあった時期であったので、このような経験・想いで就業をあきらめた方も多いのではないかと考えます。

また、家事のジェンダーギャップも子育てをしている頃の女性医師の就業率が低くなっている原因の一つだと思います。

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子どものいる女性の家事時間=診療時間というデータがあります。
それに対して男性医師は子供の有無で家事時間は変わらないのです!男性医師の意識改革も重要です。

●わたし流!働き方の工夫とこれから
現在はYUMINOで非常勤として週3回外来・訪問診療を行っています。
時短ながら専門性をいかした働き方ができていて満足しています。

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YUMINOではオンラインが活用され、勉強会や会議に参加しやすく、
仲間外れや情報不足という状況になりにくい環境があると思います。

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わたし流の工夫としては、仕事面では労働時間内はひとの倍働く意気込みで、そして周りに助けられているので感謝を忘れず、人間関係を大切にしています。
また、組織やチームの中での自分の役割や 自分に何ができるのか考えるようにしています。「できる、できない」をはっきりさせて、周りに伝えることも大切だと思います。
そして、ライフ面ではわたしが機嫌よく過ごすことが家庭の平和にもつながると思うので、夫に家事育児に参加してもらい、家事を外注するなど工夫をしています。

働き方を決めるのは、医局でも家族でもなく、自分です。個々の仕事への考え方、向き合い方に対して上司・雇用主がどのように対応していくかが「多様性のある働き方」の第一歩だと考えます。ただ、なんでも受け入れてもらえるという前提ではなく、自分のしたい働き方を叶えるために「雇いたい、一緒に働きたい」と思ってもらえることが必要です。そのために勉強をして資格を取ったり、経験を積み重ねていくことが大切です。
そして、これは女性だから、子どもがいるからという特別枠ではなく、全員が当てはまることであり、自分自身で考えていかないといけないことだと思っています。




ゆみのハートクリニック渋谷
谷野 紗恵

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