Clinical Question:睡眠時無呼吸症とCOVID19

YUMINO education program2023年01月24日

閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患、重症化のリスクとなることが報告されているが、CPAPアドヒアランスとCOVID-19重症化との関連については明らかではない。当院でCPAP使用中のOSA患者に、COVID-19罹患、ワクチン接種の有無、罹患時の重症度などについてアンケート調査を行い、CPAPダウンロードデータから直近6か月の平均使用率、4時間以上使用率を算出した。ロジスティック回帰分析を用いて、COVID-19重症化の独立規定因子について検討した。

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COVID-19罹患例は31例(3.9%)に認め、軽症17例(2.1%)、中等症I 2例(0.2%)、中等症II 11例(1.4%)、重症1例(0.1%)であった。中等症Ⅱ・重症群では中等症以下の群と比較してCPAPの平均使用率、4時間以上平均使用率が有意に低値であった。多変量解析において、重症化リスクで補正後も、CPAP4時間以上の使用率がCOVID-19重症化の独立規定因子であった。

OSA患者では、併存する肥満、糖代謝異常などとともに、COVID19重症肺障害の主たる原因であるサイトカインストームの準備状態が形成されていると考えられる。また、呼吸再開時の上気道の急激な開存が、大量の唾液誤嚥を引き起こし、病原体を下気道に招き入れてしまうため、無呼吸症重症度と一般市中肺炎の罹患率、重症度との相関や、インフルエンザ重症化とOSA、CPAPアドヒアランスとの関連でも、同様の結果が報告されている。

CPAPによるOSA治療は、気道感染症全般の罹患、重症化リスクの軽減する可能性があり、コロナ禍におけるCPAPアドヒアランスの維持、向上は極めて重要と考えられた。

ゆみのハートクリニック

臼井靖博

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