低換気とPLM、PVCが目立つ中等度SAS症例

60歳台 女性 身長:160㎝ 体重:66kg BMI:25.8 ESS:2 腰痛で受診したクリニックで、ついでに行った検査で動脈硬化を指摘されて、当クリニックを紹介受診されました。いびきの指摘と起床後に再度寝てしまうという訴えもあり、簡易検査を施行しました。REI=22.0回/時間、最低酸素飽和度が79%の結果で、診断PSGを行いました。AHI=25.8回/時間と簡易検査と同様の結果でした。しかしPSG所見はSASだけではなく、第1睡眠周期の持続的なSpO2低下(90%前後)と高度のPLM(PLM指数=42.7回/時間)が記録されていました。またHRトレンドは、呼吸イベントを認めない時間帯にも激しい変動を認め、これらはPVCの頻発によるものでした。

第1睡眠周期の波形です。SpO2は90~92%の間で推移しており、仰臥位だったにもかかわらず、呼吸イベントは認めていません。最も覚醒閾値の高い時間帯なので、呼吸イベントは抑制されて低換気の目立つ病態であったと思われます。ここではPLMが10回記録されています。覚醒を伴う脚動もあれば、伴わない脚動もあります。またPLMの出現時にPLMと同期して呼吸努力センサにアーチファクトが混入することを経験しますが、この症例には認められません。ビデオ画像で確認すると、動きは下肢のみで上肢には動きが観察されませんでした。通常呼吸努力センサにノイズがのるのは、上肢も動いた場合が多く、この方は腰椎症の診断を受けており、下肢のみのPLMだったことが納得できました。
SpO2は90%から92%の間で推移しており、低換気の病態が示唆されます。また緑色で示されたHRは激しく変動しており、HRが急上昇している部分はPVCが出現していました。
ゆみのハートクリニック
川名 ふさ江



