まどろみ状態で3Hz棘徐波複合波形を多数認めた肥満の若年SAS症例

20歳台 男性 身長:169㎝ 体重:84.5kg BMI:29.8 ESS:10
いびきと日中の眠気を主訴に来院されました。15歳ころからいびきの指摘があるそうです。熟眠感の欠如と起床時の口渇があり簡易検査を施行、REI=21.6、最低SpO2=83%で、診断PSGを行いました。その結果、AHI=50.3回/時間と重症の無呼吸がありました。睡眠圧の高い若年者特有の所見で、第1睡眠周期の深睡眠時には、覚醒反応を伴わない閉塞性低呼吸が出現、そのまま深睡眠が持続していました。そして朝方の睡眠と覚醒を繰り返す時間帯では、SpO2が90%前後で推移しており、低換気の存在も示唆されました。さらに特異な所見として、睡眠と覚醒を繰り返す、いわゆるまどろみ状態の時に、3Hz 棘徐波複合波形が多数認められました。

3分画面の脳波です。黒く脳波が密集している部分が棘徐波複合波形です。周期が3㎐と明確な律動性を示しており、棘波も観察されています。

15秒画面に拡大しました。感度も大きく下げています。3Hzの棘徐波複合波形であることがわかります。
PSGでてんかん波を認めた場合、確認の目的で、再検査をすべきです。脳波のチャンネル数を増やし、可能であれば10/20法の臨床脳波と同じ数の電極を装着し、フィルター設定も臨床脳波に合わせて記録する必要があります。
ゆみのハートクリニック
川名 ふさ江



