オミクロン株に私たち地域医療クリニックは何ができるのか

2022年01月10日

 コロナウイルスはその特性上、常に変異し続けています。その中でWHOがウイルスの特性を考慮し、公衆衛生上問題となる病原体をギリシャ文字の順に命名しています。アルファ(α)、デルタ(δ)株と言えば、思い出す方も多いと思います。南アフリカから始まったオミクロン(Ο)株は世界に広がり、いまや日本でもニュースなどで『オミクロン』というキーワードを耳にしない日はないといっても過言ではありません。

 

 デルタ株を含む従来型のコロナウイルスと、このオミクロン株は何が違うのでしょうか。

 従来型の潜伏期は5日程度とされていましたが、今回のオミクロンではより短い3日程度と考えられています。症状そのものは発熱、咳、咽頭痛、倦怠感など、比較的軽症が多いようです。はっきりと明言はできませんが、重症化リスクは従来型に比べ低くなっているとされています。つまり、より多くの方がかかりやすくなっているが、重症化はしにくいということになるわけです。

 

 今までも病院での医療崩壊が注目されてきましたが、オミクロン株はどのような脅威をもたらすと推測できるでしょうか。

 重症化に関しては、リスクをしっかり見積り、早い段階でソトロビマブ(ゼビュディ®)やモルヌピラビル(ラゲブリオ®)を必要な患者に投与し自宅やホテル療養にすれば、病院への過剰な負荷を軽減することが理論上、可能になるでしょう。

 一方で、感染性が高いと家族内や職場内での感染が広がり、比較的軽症の患者があふれることが予想されます。このように考えると、オミクロン株に対しては、多くの軽症例をどのように診ていくか、地域の診療所や中小病院の役割が今までにも増して重要になってきます。

 

 私たちのような地域医療のクリニックにできることを考えてみます。

 まずは、これまで通り、発熱外来を設置し、早期の診断、重症化リスクの評価と治療、病院との連携、また保健所と協力することは必要不可欠です。

 外来診療・在宅診療におけるワクチン接種も必要になるでしょう。現在3回目のワクチン接種が進められていますが、デルタ株の時のような劇的な効果(感染予防・重症化予防)は期待できないとされています。ただ、ワクチンは今現在使える『唯一の盾』であり、医療者、高齢者、高リスク患者への早期の接種が望まれることは間違いありません。

 

 加えて、今まで以上にオンライン診療に注力し、待合の混雑を最小限にしつつひとりでも多くの患者さんを診ることも求められていると考えます。

 

 新型コロナウイルスが報告され、2年以上が経過しました。今まで経験しなかった世界的流行、ロックダウンや緊急事態宣言など日常生活の制限は我々の生活を一変させました。

 マスクの着用、こまめな手洗いなどの感染対策はどこでも当たり前に行われています。ただそれも長期になると徐々に個々人間で認識・意識に差が生まれます。

 

 『コロナ慣れ』は感染予防に対するモチベーションを下げ、その隙をオミクロンは突いてきます。デルタ株は急速に減少し、10月から約3か月いつもの日常に戻ることができました。この当たり前の日常をまた取り戻すためにもう一度できることを考えていきましょう。

 

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西原 崇創

 

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