Clinical Question:在宅診療における高アンモニア血症

YUMINO education program2020年11月06日

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  • 血液サンプルの保存状態により、アンモニア値は容易に変化する
  • 高アンモニア血症治療には、食事療法、薬物療法の他、リファキシミンがある

 

 血液サンプルによる高アンモニア血症の診断には注意を要します。アンモニア値は4℃の全血放置で60分あたり約20%、37℃の全血放置では約50%の上昇を示すことが知られており、保存状態による変化には十分な注意が必要とされています。高アンモニア血症の原因の大半は肝硬変などであるが、稀には尿素回路の酵素欠損、ウレアーゼ産生菌による感染症に伴ったアンモニア産生、薬剤性(バルプロ酸ナトリウム、ピバリン酸含有抗菌薬)が誘因となることがあります。メイヨークリニックからの報告では、2004年から2015年に診療したICU患者のうち高アンモニア血症を認めたのは3908例、そのうち非肝不全例は167例(4.5%)であったそうです。

 治療には食事療法、薬物療法として合成二糖類、特殊組成アミノ酸製剤があります。また、昨今、抗菌薬であるリファキシミンが承認されました。難吸収性リファマイシン系抗菌薬であるリファキシミンは腸内細菌に対して抗菌作用があり、血液中のアンモニアを低下させることで高アンモニア血症の改善効果を認めます。特殊アミノ酸製剤を頻回に点滴静注していた症例もリファキシミン開始により、意識障害なく経過することも経験されるようになってきています。

 

のぞみハートクリニック

小出雅雄

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