Clinical Question:医療における最善とは

YUMINO education program2020年09月24日

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  • 日常診療において、最善とは何かに迷う場面は多々ある
  • ガイドラインでは、キュアからケア、SOL(sanctity of life)からQOL(quality of life)への流れがみられた。
  • 判例においても、死期の切迫性から医療行為の適切性へと判断基準が変わるというパラダイムシフトがみられた。
  • 医療現場の中でも、在宅医療はQOL価値観の最前線である。
  • 過去のSOL至上主義の反省から、QOL至上主義の弊害も理解した上で、偏りすぎず、真の最善について常に考えていく必要がある。

 

医療においては、どのような方針にしたら良いかということを悩む場面がたくさんあります。一般に、本人の意思決定を基本として考えていくわけですが、本人の意思確認ができない場合や決められない場合もあります。

そこで、これまでの日本の終末期医療のガイドラインの変遷をたどってみたところ、SOL(sanctity of life)からQOL(quality of life)への流れがあることがわかりました。SOL価値観時代には、過去の判例からその弊害がみてとれました。

一方、現段階での最善の方法として、意思表明できない患者さんの方針が推定意思をもとに皆で話し合って決めるということが言われていますが、主観的指標であるQOLをいかに考えるかについては限界もあり、その弊害が今後生じる可能性も否定できません。

結局、SOLが悪い、QOLが良いというような画一的な価値観ではなく、その人にとって本当に良いことは何なのか、これまでの価値観や方法に縛られず新たに考え、その場その場で真摯に対応していくことが、"最善"、そしてそれが真に寄り添うということなのではないかと考えています。

(東京医科歯科大学大学院修士論文より)

 

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