安心して自宅で療養できる未来へ。 福岡の地で、これからの医療を切り拓く。

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K. T.
医師
外来診療/訪問診療
2019年入職
九州大学医学部卒業。九州大学病院循環器内科から、済生会二日市病院循環器内科医長を経て、現職へ

病院の診療で、望む生活が送れない多くの患者さんを目の当たりにし、在宅医療の必要性を感じていた頃、YUMINOを知り、見学に訪れる。弓野理事長からの声がけを受けて、一念発起、一家で福岡から東京へ。穏やかな笑顔と「人の役に立ちたい」という実直な姿勢から、患者さんから信頼が厚いのはもちろん、スタッフからも頼りにされている。2022年春、福岡の中心部に「わかばハートクリニック」を開院。院長として九州へ帰郷した。

「どうしたら患者さんが安心して自宅で過ごせるのか。」
その答えを探しに、東京のYUMINOへ。

大学病院や基幹病院に従事していた頃、入退院を繰り返す高齢の患者さんを数多く目にしました。その中に、心不全を患っていて症状自体はさほど悪くないものの、退院しても「苦しい」と言ってすぐに戻って来られる方がいました。検査結果も悪くなく、よく聞いてみると、一人暮らしのため自宅で過ごすのが不安な様子でした。心不全は、食事や運動、睡眠、排せつなどの生活要素が病状に影響をもたらします。心不全の悪化を防ぎ、普段の生活を送っていくためには、自宅をベースとして治療を行うことが望ましいと思います。また、その方を通じて、心不全への治療を行うだけでは患者さんは安心して生活を送ることは出来ないと学びました。そして、不安や生活上の問題を抱えた方々が安心して在宅療養を送るための医療基盤が整っていないことを感じました。

そんな折、先輩医師から、「東京に、心不全の在宅療養に取り組んでいるクリニックがあるよ」とYUMINOのことをご紹介いただき、早速、見学に赴きました。実際に現場に足を運んでみると、クリニックと地域のスタッフが連携することで、従来であれば入院していたような症状の方が在宅療養を続けられている事例や、入退院を繰り返していた患者さんが自宅で過ごせるようになった事例などを目にし、患者さんがくつろいで笑顔になっている様子に大きな可能性を感じました。YUMINOの、その人が人生において大切にしていることを尊重し、実現していくという理念にも共感し、福岡でも訪問診療をスタートできるよう、数年の間、東京で経験を積むことを決めました。

「退院」がゴールではなく、スタート。
訪問診療は、地域の連携がカギとなる。

現在は1日約10人の患者さんの訪問診療を担当しています。一人暮らしで、一日中、誰とも話さないという方も多く、隔週または3週に1度の訪問を楽しみにしてくれています。私自身も、難しい病状だった患者さんが山を越えて、ご自身のやりたかったことを楽しそうにされている姿を見ると嬉しい気持ちになります。病院の診療は、患者さんの症状を良くしてお家に帰すことがゴールですが、訪問診療は家に帰ってからがスタートである点が大きく違います。

患者さんの人生において、医療は重要ではあるものの、一つの要素に過ぎません。人生においてもっと大切なことがたくさんあります。縁の下で患者さんの生活を支え、患者さんに病気に縛られない生活を送っていただけることを目指しています。そのために、病院勤務ではあまり接点がなかった訪問看護師さんやケアマネージャーさんといった地域のスタッフさんと協力しながら診療にあたっています。また、できる限り在宅で療養したいというニーズに応えていく一方で、地域で抱え込みすぎると適切な時期に適切な医療を行えず、結果的に寿命を縮めてしまうことにもつながります。どこまで在宅療養を続けるかについては、ご家族で意見が分かれることも多く、難しい判断になりますが、看護師や、ソーシャルワーカー、地域のスタッフさんの高い専門性を頼りに、何度も意見交換して様々な角度から判断しています。

2022年、福岡に戻りクリニックを開院。
熱意ある仲間と共に新しい医療を創っていきたい。

2022年には、いよいよ福岡でクリニックを開院し、院長に就任しました。開院前から、元同僚や先輩の先生方からも「待っているよ」という声が聞こえてくるなど、地域からの期待をひしひしと感じ、YUMINOの理念や新しい医療を九州へと展開する使命を前に身が引き締まる想いです。

質の高い医療をお届けする鍵はやはり「人」だと思います。YUMINOに来て様々な職種のスタッフ一人一人が「何があっても諦めない」という姿勢で仕事に臨んでいる姿を目の当たりにして、壁にぶつかっても乗り越えていくマインドの大切さを学びました。また、特に訪問診療では、医療だけではなく介護保険などの社会保障制度に精通している医療ソーシャルワーカー職の役割が大きく、病状の変化に合わせて利用できる制度の検討や提案を通じて、質の高い医療の実現を支えてくれています。

福岡でも、地元に根づいた熱意ある多職種のスタッフを募集していきます。新しい医療を創造する道ではその時々に様々な課題が生まれますが、「どうしたらクリアできるか」を考え、粘り強く立ち向かっていけるマインドを持った方を求めています。また、私自身が「人を幸せにするためには自分が幸せでないといけない」と考えており、新しいクリニックでもそれぞれの人生を大切にしながら、これからの医療を一緒に創っていく仲間を見つけていきたいです。