肥満低換気が示唆された症例
60歳台 女性 身長:154㎝ 体重:84 kg BMI:35.4
高血圧とうつ病で内服中ですが、体重増加で息切れを自覚、健診で心拡大を指摘されて受診されました。家族からいびきの指摘もあり、息が詰まるような感じで目覚めることもあるそうです。簡易検査はREI=11.4回/時間、最低SpO2:80%の結果で、診断PSGを行いました。PSG開始前には常用薬(エチゾラム・ミルタザピン・パロキセチン)を服用されています。上記トレンドからもわかるように、呼吸イベントより低換気が主体のPSG結果でした。
無呼吸はほぼレム睡眠時のみで認め、そのレム睡眠は抗うつ薬で抑制され、朝方1回のみでしたので、AHIは軽症の結果となりました。高度肥満に加えて、服薬による低換気も疑われます。
23時頃のstageN2が連続、安定呼吸時の波形です。SpO2は85%前後で推移、PLMが頻発しています。
結果的に酸素飽和度は、総睡眠時間の72%、4時間40分余りは90%以下であったことがわかりました。本来ならCO2が同時記録できれば低換気の診断も出せるのですが、まずは動脈血液ガス分析を行い、CO2分圧を調べる必要があります。そのうえでCO2が高値であれば、NPPVを適用、CO2が高くなければ、CPAPと酸素で様子を見る方法も考えられます。
ゆみのハートクリニック
川名ふさ江