めまいと嘔気・胸やけ・腹部膨満感で受診した症例

2025年07月25日

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60歳台 女性 身長:154.5㎝ 体重:71 kg BMI:29.6 ESS17点 

めまいと嘔気、胸やけなどを主訴に当院受診、ESSは高く、不眠の訴えがあり、体型からもSASを疑い簡易検査を施行したところ、REI=20.0最低SpO280%の結果で、診断PSGを行いました。AHI=44.2/時間と簡易検査よりはるかに重症となりました。

不眠の訴え通り、ひと眠りされた後、再入眠が困難で眠剤を服用されています。

呼吸イベントは仰臥位時優位に認めていますが、眠剤の影響か服用後2時間ほど経つと覚醒閾値が上昇し、仰臥位でも呼吸イベントが抑制されています。

いびきは側臥位でも高度に記録されていました。

PLM指数は31.8/時間とやはり重度に認めましたが、覚醒を伴う脚動はわずかでした。

無呼吸のみならず、呼吸イベントが抑制されたノンレム睡眠の時間帯には、低換気を示唆する持続的な酸素飽和度低下(9192%で推移)をみとめ、肥満低換気の存在も示唆される結果でした。

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眠剤服用2時間後の呼吸波形です。覚醒閾値が上昇した結果、呼吸イベントが抑制されたと考えられます。

しかし安定呼吸にいびきが記録されて、このときの酸素飽和度は9192%であり、低換気の病態が示唆されました。

ただ本当に低換気があるかどうかの診断には、CO2の測定が必要です。

PSGでは呼気終末CO2か、あるいは経皮CO2の測定が可能ですが、それぞれに長短があります。

呼気終末CO2は呼気に含まれるCO2濃度を測定しているため、無呼吸の時は測定できず、経皮CO2はその反応にタイムラグがあり、動脈血ガス分析による実測値とは2分程度ずれることもあると言われています。CPAP治療で低換気の改善も図れます。

眠気以外に主訴に無呼吸を示唆するものはありませんでしたが、無呼吸治療で睡眠の質が改善されれば、これらの愁訴の改善も期待できそうです。

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