仰臥位やレム睡眠で呼吸イベントが抑制された高度肥満OSA症例―今日のPSG(20250131)続報 前回報告した診断時のトレンドグラフ

2025年07月08日

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30歳代 男性 身長:168㎝ 体重:90.5 kg BMI:32.2 ESS12点 

家族からいびき・無呼吸の指摘あり、耳鼻科で簡易検査を施行REI35/時間の結果で、精査目的に当院を受診されました。診断PSGを行ったところ、AHI=34.5/時間と簡易検査とほぼ同様の結果となりました。上のトレンドグラフからはレム睡眠時のdesaturationがあまり目立たず、体位を見てもレム睡眠は常に仰臥位でした。そしてノンレム睡眠の左側臥位で朝方閉塞性低呼吸が頻発していました。さらに奇妙なことに、ノンレム睡眠の仰臥位では、中枢性無呼吸や混合性無呼吸が連続して認められています。

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ノンレム睡眠の仰臥位時に認めた中枢性無呼吸の連続波形です。呼吸イベントにともなうdesaturation波形がサイン波様であることも中枢性イベントであることを裏付けています。なぜ典型的なOSA症例とは異なる病態を示すのか、理由を考えてみました。ノンレム睡眠の中枢性無呼吸は、呼吸中枢の不安定性(ループゲイン亢進)にともなうものであり、レム睡眠では行動調節系の支配が優位となるので、呼吸中枢の不安定性がマスクされていると推測しました。まずはCPAPによる改善効果を注意深く見守っていきたいと思います。(以上前回の報告)その後CPAP(ムラタMXハードモード)4-8H2Oで治療開始しました。

CPAPタイトレーション時のトレンドグラフ↓

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ムラタMXでタイトレーションを行っています。BMIが高値なのでハードモードで使われていますが、タイトレーション結果では、残存AHI=11/時間、残存する呼吸イベントの8割が中枢性でした。診断時の病態がCPAP治療にも影響しているようです。中枢性イベントは、やはり睡眠と覚醒を繰り返すタイミングに認めており、安定した睡眠の確保が治療のポイントとなります。担当の技師からは、ノーマルにしてもCAで圧上昇が見られ、マニュアルで5.5H2O以下に下げるとCAが消失したとのことです。圧上昇は控えめのほうがよさそうです。ソフトモードの4-7H2Oが推奨されます。幸いCPAP導入後のアドヒアランスは良好で、使用率:96.7%、4時間以上の使用率:90%、平均使用時間:619、残存AHI 5/時間となっています。患者の満足感もあり、日中の眠気が改善、活動量も増えて減量できているとのことでした。

CPAPタイトレーション時にも認めた中枢性無呼吸↓

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