急性・慢性心不全診療心不全ガイドライン:vol.4 診断1

2019年04月22日

今回は、診断のアルゴリズム、BNP/NT-ProBNPについて概説します。

①診断のアルゴリズム(図1)

Vol.1で述べたように改訂されています。ポイントは3つです。

  • 症状・所見から心不全が疑われれば、まずBNPまたはN末端プロBNP(NT-ProBNP)の採血検査で心不全をスクリーニングするように簡便化されています。
  • BNP≧100pg/ml またはNT-ProBNP≧400pg/mlをカットオフ値として、心不全を診断し、心臓超音波検査で確定診断するというアルゴリズムになっています。
  • ただし、症状・所見があって、BNP <100pg/ml またはNT-proBNP<400pg/mlの場合は、虚血性心疾患の評価を考慮するように勧めています。

BNPまたはNT-ProBNP

BNPまたはNT-ProBNPは、わが国の臨床現場で心不全診療を支える補助診断法となっており、本ガイドラインでも、BNPまたはNT-ProBNPを心不全の1 . 診断、2. 重症度、3. 予後評価についてClassⅠで、4. 治療効果判定、5. スクリーニング目的についてClassⅡaで推奨しています。前述のように、診断アルゴリズムでもスクリーニング指標として用いられています。ただし、腎機能障害や高齢では、BNPまたはNT-ProBNPは濃度上昇しやすく、肥満があると上昇しにくいなどの特性もあり、解釈には配慮が必要となります。本ガイドラインでも引用されている日本心不全学会のBNPに関する学会ステートメントにあるBNP(pg/ml),NT-ProBNP(pg/ml)値の心不全診断へのカットオフ値(図2)を紹介します。

前ガイドラインでは確定診断中心のアルゴリズムであったの比較すると、本ガイドラインでは心不全の除外診断中心のアルゴリズムになっていることに気づきます。これは、心不全パンデミックに備えて、専門医だけでなく、非専門医も心不全介入できるように、治療だけでなく、予防(早期診断)もできるように考えられた結果が、この心不全診断アルゴリズムだと思います。BNPやNT-ProBNPをうまく使って、心不全の少ない、心不全で苦しまない時代につなげられるといいですね。

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弓野 大

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