Clinical Question:せん妄の診たてと薬物療法

YUMINO education program2023年08月18日

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せん妄マネジメントの基本は、①せん妄の原因の解除に努める、②非薬物療法的介入(環境改善)を十分におこなう、その上で③薬物療法がおこなわれる。

低活動型せん妄に推奨される薬剤はなく、過活動型せん妄が薬物療法の対象となる。

 

せん妄薬物療法の第一選択は、抗精神病薬である。図は『日本総合病院精神医学会せん妄の臨床指針第2版』によるせん妄に対する薬物療法アルゴリズムである。

まず投与経路として、内服が難しい場合はハロペリドール点滴が選択される。

内服可能な場合は、錐体外路系副作用が少ないという理由から、多元受容体作用を持つ非定型抗精神病薬であるクエチアピン、オランザピンが推奨される。

ただし、これらは日本において糖尿病の既往があると禁忌であるため、糖尿病がある場合には、ペロスピロン、リスペリドンが使用される。

リスペリドンは腎排泄であるため、腎機能が低下している場合には使いにくい。

半減期が短く高齢者にも使いやすいという点では、クエチアピン、ペロスピロンは有利である。オランザピンやリスペリドンは口腔内崩壊錠や内用液があり、剤形の利がある。

 

せん妄に抗精神病薬を用いる場合、必要最小量を初期設定する。

効果不十分な場合には、同量~倍量を不穏時追加として繰り返し、翌日の投与量はそれを参考に決定する。せん妄が落ち着けば、ただちに漸減中止するのが原則である。

 

近年、せん妄の予防となる睡眠薬の可能性が注目されており、メラトニン受容体作動薬であるラメルテオンや、オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサントには、ICUまたは急性期病棟に入院した高齢者において、有意なせん妄予防効果があったという報告がでている。

 

ゆみのハートクリニック

赤穂 理絵

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